歯周病と高血圧の関係

高血圧・肥満と歯周病との関連性

高血圧・肥満と歯周病との関連性

高血圧及び肥満と歯周病とは関連性があります。歯周病の病状が進んでいると、収縮期血圧や脈波伝播速度(PWV)も高い傾向にあることが熊本大学循環器内科の花岡洋右又氏により報告されました。

又、高血圧と肥満との間にも強い関連性が存在しています。
従って、高血圧の改善が歯周病の改善に繋がり、歯周病の改善が高血圧の改善に繋がるという好循環をもたらすようにすることが望まれます。

歯肉増殖症

高血圧の治療薬の副作用のひとつに「歯肉増殖症」があります。歯肉増殖症を誘発するものとして「カルシウム拮抗薬」ニフェジピン(アダラート)、ベラパミル(ワソラン)、ジルチアゼム(ヘルベッサー)、ニカルジピン(ペルジピン)などが挙げられます。

歯肉が肥大して歯周ポケットが深くなってきます。歯ブラシが上手く出来にくく、細菌の塊(プラーク)の沈着が起こりやすく、歯周ポケット内の細菌が増殖し、歯周ポケットの深さを増し、歯周病は増悪していきます。

高血圧の薬を服用し、歯肉が全歯牙に渡って膨れているようならこの疾患を疑います。内科医に薬の変更を依頼することをお薦めします。又、高血圧自体を薬によってコントロールするのではなく、薬が必要の無い状態に持っていくことも重要です。

高血圧の歯科治療時の問題点

カテコールアミンの上昇

カテコールアミンの上昇

歯科医院に来るだけで、不安が起こり、血圧が上昇する患者さんがいます。これは、痛みや、不安・恐怖などにより、内因性のカテコールアミンが上昇するためです。

歯科治療時には麻酔薬として使われる薬剤中に血管収縮剤(エピネフリン)が含まれています。この血管収縮作用によって血圧が上昇します。局所麻酔時、抜歯などの手術時に特に血圧が上昇します。

高血圧は歯科治療上問題となりやすいため、歯科治療の時には血圧がコントロールされている必要があります。

インシュリン抵抗性の増加

インシュリン抵抗性の増加

内臓脂肪型の肥満

内臓脂肪が増えれば、インシュリン抵抗性が増します。インシュリンは、臓器(骨格筋・脂肪組織・肝臓)がブドウ糖を取り込む事を促す役割があるホルモンです。

「インシュリン抵抗性の増加」とは「インシュリンの効き具合が低下する」ことを意味しています。つまり、膵臓からインシュリンが分泌され血液中に流れても、各臓器のブドウ糖の取り込みが低下している状態になるわけです。

血糖値を下げるために更にインシュリンの追加分泌が必要で、「高インスリン血症」を招きます。この様な状態が長く続くと膵臓のインシュリン分泌機能が衰え、2型糖尿病へと移行していきます。

正常にインシュリンが分泌されていれば、食欲を抑制する作用として働きますが、インシュリンの分泌が低下すれば肥満を誘発する原因となります。

インシュリン抵抗性を増す最大の理由は内臓脂肪型の肥満です。脂肪細胞は、単なるエネルギー貯蔵庫ではなく、内分泌器官としての役割があります。インスリン抵抗性を増悪する悪玉灯の生理活性物質「TNFα」「PAI-1」などを分泌します。「TNFα」「PAI-1」などがインシュリンの作用に対して抑制的に働き、各臓器のブドウ糖の取り組みを阻害しているのです。
そして、インシュリン抵抗性が増す⇒内臓脂肪が増える⇒インシュリン抵抗性が更に増すという悪循環に陥ります。

インシュリン抵抗性の増加で高血圧へ

高インシュリン血症

血液中のインシュリン量が多い「高インシュリン血症」の状態になると、交感神経が緊張し、血圧の上昇が起こるとともに、腎臓でのナトリウム(塩分)の排出機能が低下します。

つまり、尿が出来るときにナトリウムイオンを再吸収させるように働くのです。血液中のナトリウム(塩分)濃度が高まると、それを薄めようとして、脳は水分を補給する様に命令を出します。

それは体液量を増加させようとするものです。そして、血圧は上がって行きます。

腕時計型の万歩計
腕時計型の万歩計

血圧を下げる対策

炭水化物(糖質)の摂取量制限

血圧を下げるにはインシュリン抵抗性を下げれば良いと言うことになります。インシュリン抵抗性を下げるためには炭水化物(糖質)の摂取量をコントロールする必要があります。

と同時に、前述した低GI値の食品を選択する事で血糖値の上昇が穏やかになり、インシュリンの分泌も少なくて済みます。そうなると、腎臓でのナトリウムイオンの再吸収も穏やかになり、血圧が下がってきます。

肥満解消—内臓脂肪を減らす

BMI22を目標に減量に励みましょう。BMI=体重(kg)÷(身長×身長)(m)

減塩

食塩は一日6g以下を目標とします。

有酸素運動(適度な運動)

汗が少し出るくらいのウォーキングを行いましょう。最低でも一日1万歩が目標です。万歩計を購入し、毎日の運動量を管理しましょう。

野菜と果物を食べましょう

体内に残った余分な塩分(ナトリウムイオン)を体内に排出してくれる作用のあるカリウムイオンを含んだ食物を多く取るようにします。牛乳、果物類(アボガド・バナナ・りんご・キウイフルーツ)、豆類、野菜類(ほうれん草・ブロッコリー)などの中にカリウムイオンが多く含まれています。ただし、あまい果物は、糖質制限ダイエットの所で記述したように摂り過ぎには要注意です。ただしアボガドは問題ありません。

ふかさわ歯科クリニック篠崎では、患者様の大切な歯を1本でも延命するため、軽度歯周病から重度歯周病に至るまで様々な対策を行い、歯周病予防をはじめ、早期発見・早期治療で症状の改善・維持を行い、抜歯回避に努めております。

歯周病と高血圧は深い関係があります。共に防いでいかなくてはなりません。江戸川区篠崎で歯周病予防・歯周病治療をご希望の方は、ぜひ一度当院までお気軽にご相談下さい。

【動画】歯石は自分で取れる?

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

Follow me!